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太平洋沿岸を走っていると、時折こうした天気に巡り合います。いつの間にか冷たい霧が立ち込め、海も崖もハイウェイも、白く深い靄のなかに少しずつ姿を消していく。冷たく湿った潮の匂いと、遠くで鈍く響く波の音だけが残る。視界が一気に目の前まで狭まることで、周囲はかえって驚くほど静まり返り、誰にも邪魔されない落ち着いた安心感が生まれます。
この曲は、そうした感覚を留めておきたくて作ったものです。気の向くままにアコースティックギターをゆっくり爪弾き、オープンコードと長く響く開放弦で、音の余韻を少し長めにとどめました。その下に、海霧のようにゆっくりと広がるかすかな環境音を薄く敷いて、ギターの音をそっと支えています。指先が弦を擦る小さな擦れる音も完全には消さず、素朴で飾らない質感をそのまま残しました。
小難しい瞑想音楽でもなければ、入り組んだ物語があるわけでもありません。冷たい風のなか、車を道端に寄せて上着のジッパーを上げ、岩肌に打ち寄せる波の音を聞きながら、濃い霧が周りの景色をゆっくりと包み込んでいくのをただ眺めている——。
そして、そこでしばらく静かに座っている。
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